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【長文注意】サーターアンダギーのおはなし
いつもお世話になっております。
狸の気ばらし 山田です。
実は昨日、飲食業の先輩から
とんでもなく長文の質問が来たので、
ちょいと答えてみたいと思います。
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【サーターアンダギーの話し】
あなたはサーターアンダギー一個にいくら払いますか?
大きいものなら60円くらい?
小さい物なら30円?
仮に一個60円として1日いくつ作れるでしょう?100個?
100個作れば6000円の売上。
これでは商売として成立しないですよね?
逆に商売として成立させる為にはいくら売上が必要でしょう?
誰も雇わずに自分1人でやっていくなら人件費は月50万円でやっていけるでしょう。
月25日働いて、自宅兼店舗で家賃がかからなかった場合、
自分の給料、材料費、水道光熱費を稼げば良い訳です。
と考えると、材料費は小麦粉、たまご、油だけなので恐らく10%程度。
ガス代は結構かかって25000円。
電気、水道で15000円くらい。
そう考えると月の売上は600000円くらい。一ヶ月10000個作る計算になります。
となると1日あたり400個作る事になります。
1時間100個作れたら製造に4時間。
それを送ったり届けたりするのに4時間。
合計8時間。
つまり毎日8時間かけて作って売る訳です。
そこでやっと商売として成り立つ訳です。
でも実際には売り切れないで残ってしまった。
僅かだけど包装資材も必要。
もし1日10個売れ残ったら月250個。
15000円を自分の給料から補填する事になります。
予約販売なら風邪をひいてもギックリ腰になっても休めません。
手伝ってくれる人が居ないからです。
こうならない為に人を雇ったとします。
自分の他に人が居れば何か有っても安心です。
でもその人に200000円払ったら
自分の給料は300000円になります。
売上を上げる為に毎日2人がかりで600個作る事にしました。
すると毎日の売れ残りが50個に増えました。
作った分完売すれば売上は900000円に増えますが従業員の給料200000円。
材料費90000円。
売れ残りのロス75000円を差し引くと自分の取り分は535000円。
さてここで選択肢が増えます。
家賃を払ってももっと生産効率を上げる為に店舗を借りるかどうか。
今の自宅兼店舗では二人で600個が限界と感じ、事業を拡大するべきかどうか。
生産効率を上げても販売ルートを増やせるのか。
沢山作れるようになっても売れなければ商売としてマイナスです。
郵送、配送だけでなく店舗でも販売すればいくつ売れるか。
様々な要素が絡みついてきます。
ここで必要なのが営業力と情報力です。
サーターアンダギーっていったい誰が買うんだろう?主婦?子供?企業?施設?
店舗の周りには何があるか?学校?病院?老人施設?道の駅?
近隣の商業施設は何があるだろう?
スーパー?
コンビニ?
お弁当屋さん?
パーラー?
商店街?
カラオケ?
レンタルビデオショップ?
地域自体の集客力は?
就労者、子供、年金生活者の人口比率は?
どれだけ情報を集められるかで営業力も変わってくるでしょう。
何も考えずにイメージだけで商売を始める事程リスクの高いものは有りません。
徹底的に情報を集め、徹底的に考え抜いても成功するとは限りません。
自分の考えが商売として成立するのかどうか。
潔先輩はどう思いますか?
投げかけてみました(笑)
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まずはこの質問を受けて僕の第一声は
鬼か、この人は
長いし、想いが重いわ!
哲学者というか
なんというか
昨晩、一緒に飲んでましたけども(笑)
さて僕がどう思うか、を回答します。
サーターアンダギーを例に挙げて
ビジネスに関わる壮大な質問です。
あくまでも個人店としての回答です。
あしからず。
●鶏が先か卵が先か
ご質問の趣旨は
根拠を持って、数字を語る
という事だと思います。
僕のような行き当たりばったりな業界人としては
数字があって、根拠を作る
が、大半でしたので(笑)
ただ、質問の最後にあったように
根拠だけでは数字が出ません。
数字があっても根拠が無ければ方針が決まりません。
これがまた難しい所ですね。
となると根拠と数字。
理論と現実とのバランスが大事になると思います。
●静的要素と動的要素
となると情報を整理する必要になります。
僕は良く言われる5W1H が大事だと思います。
WHO(誰が)
WHERE(何処で)
WHAT(何を)
WHEN(いつ)
WHY(なぜ)
HOW(どのように)
まぁ、使い古された定番のフレーズですが
便利なので定番になるもんです(笑)
経営者
環境(駅から近い・住宅街の中にあるなど)
席数
これは商売として動かせない要素です。
静的要素、地盤とでもしましょうか。
地盤としての WHERE は固定して考えてみましょう。
同様に個人経営の飲食店として WHO も自己研鑽は必要ですが、
固定して考えてみます。
となると動的要素は何でしょう。
質問にある通り、
商品
材料費
人件費
水道光熱費
広告宣伝費
ここらへんが出てきますね。
先ず、考えなければならないのは商品。
商品を扱うのが商売ですから(笑)
商品として、まず何を(= WHAT )売るのか
これに関して質問の例がサーターアンダギーですね。
本来なら、リスク回避の為に
選択と拡散→点と面
ウリになる商品選択と、
顧客を確保するためにカバーする多様性
僕個人として、このバランスが非常に大事だと思ってますが、
これを書き始めるとひたすら長くなるので割愛します(笑)
商品として、サーターアンダギーを売る。
となると WHEN つまりいつ売るのか、が見えてきます。
ここで、WHERE つまり場所が重要になります。
住宅街や
お店の周囲に病院、会社、などの大きな施設がある場合、
日中が一番効率が良いですね、多分。
夜の歓楽街では、
その周囲の飲食店やカラオケなどの施設の営業時間に準じた方が良いでしょう。
効率。
これが、HOW (どのように) の決定する要素になります。
そして、HOW (どのように) が一番の動的要素と言えるでしょう。
HOW(どのように)商品を売れば効率が良いのか。
HOW MANY(数量は)どれだけ売れば効率が良いのか。
HOW MUCH(価値は)いくらに設定すれば効率が良いのか。
HOW LONG(期間は)期間限定か、よほどの理由が無ければ変えないのか。
北海道を中心に全国で 40店舗以上を展開する某チェーン店では
一か所の大きな場所で、全ての仕込みを行います。
一括で仕入れをすれば、仕入れ値は下がります。
一括で仕込みをすれば、人件費は下がります。
一か所であれば、家賃は安く済みます。
そして、多くの店舗であればあるほど販売価格は下げられます。
昔から薄利多売、という言葉がありますよね(笑)
このいくつもの HOW を考える事が
冒頭の根拠と数字、だと思います。
そして、商売として成立するのかどうか
その解となるのかな、と。
●結論はやっぱりアホ
ですが、なんですかね。
個人店でも、効率性はもちろん重要。
ただ、僕としては個人店として最も大事だと思うのは、
WHY(なぜ) やっているか
だと思います。
なぜ、こんなアホな商売しているんだろうな、
と常々、思わなくもないですが
好きで続けてるからなぁ
ってことですね。
以前、記事にもしましたが、
だからこそ継続するために
必死こいて効率を高めつつ、
非効率なことをやっているんでしょう。
以上、僕としての回答でした。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。